1.融資先概要
■氏名または団体名・法人名:特定非営利活動法人石川県茅葺き文化研究会
■事業開始年月日: 2005年12月
■事業実施メンバー数:7人
■融資金額
1,000,000円/ 返済予定 2013年3月
■事業内容
石川県の茅葺き技術継承にむけた公開講座 (平成24年度芸術文化振興基金助成対象活動事業)
■貴方もしくは貴団体の理念や目的を教えてください。
私たちの法人は、石川県内各地域で衰退が著しい茅葺き建築物に対し、その技術の調査記録・保存や後継者育成支援及び建築物活用等に関する事業を行い、茅葺き文化を通した民家集落や施設の維持管理、地域コミュニティの促進と自然素材による地域生活圏の復興推進、歴史的環境の保全・活性等に寄与することを目的とする。
■貴方もしくは貴団体の主な事業とこれまでの成果を教えてください。
2010年6月~ 文化庁設定「ふるさと文化財の森 金沢湯涌茅場」の保全と茅刈り活動推進事業(年5回、のべ80人参加)
2011年10月 茅葺き技術体験教室の開催 輪島市三井町 (2回、のべ30人参加)
2011年11月 茅葺き技術公開講座 金沢湯涌江戸村 (2回、のべ30人参加)
2009年4月~ 能登地域の茅葺き民家調査 (石川県建築士会事業。金沢工業大学中森研と3年間の共同調査)
2012年6月 日本茅葺き文化協会全国大会(福島県)理事活動
■代表者について、「私はどんな人?」を経歴やエピソードなどを自由に表現してください。
2005年の法人設立は、筑波大学教授で全国茅葺き民家研究活動の安藤邦廣氏が理事長、金沢職人大学校専門員の坂本善昭が専務理事となり、石川県内の建築家や景観保全に興味を持つ人たち十数人とともに行い、活動を開始した。
その年から金沢の湯涌地域の旧江戸村における、茅葺き農家3棟の移築保存に際して金沢市と協働。周辺集落に働きかけて旧茅場の調査と復興事業に着手した。
現理事長坂本善昭は前職が金沢職人大学校修復専攻科の専門員で、県内外における木造建築および茅葺き屋根等の調査研究をライフワークとしている。
茅葺き文化は日本の原風景資産として、今後も大切に保存継承したい。
2.融資を受けて実施する事業について
■事業の動機と目的
世界農業遺産に選ばれた石川県の能登半島には、古くから受け継がれてきた茅葺き民家が今も点在する。住まいと暮らしのあり方を、美しく親しみやすく象徴する茅葺きはしかし、職人の技術継承や材料の確保などに著しく困難をきたしている。そこで茅葺きの技と体験と学習の場を設置し、広く自然環境やエコライフへの関心を高めつつ、守ることの大切さを訴える。
Q.経緯や動機
A.石川県内には能登半島のみに現在も住まいとして活かされている茅葺き民家がある。およそ200棟ほどと推測される県内の茅葺き建造物(農家や納屋、社寺、茶室、縄文・弥生式小屋なども含める)は、行政機関等の管理がされているものを除いて、そのすべてが衰退の危機にさらされている。
茅葺きは里山景観の要ともなり、かつては古茅が農業肥料としてふんだんに活用されるなど、エネルギーの循環を担っていた。また、囲炉裏を中心にした家族の団欒、茅葺きや茅刈り作業を通した近隣の人々との絆形成など、子どもから青少年を含めた幅広い世代をつなぐ役割も担う。さらに山間部での茅場形成は本来の広葉樹系のもりづくりを促進させる。
こうしたさまざまな利点を、子どもたちに伝えるための事業として開始された。
Q.どんな社会を目指していますか?
A.自然との共存が人間にとって不可欠であり、私たちの社会はその考え方を基点に発展してきた。
そうした先人からの英知を未来につなげることが、当然であるという考え方の行き交う社会でありたい。
■事業の内容
Q.誰に対して・どんな価値(モノ・サービス等)を・どのように提供しますか?
A.茅葺き建造物が現在も見られる地域で、近隣の子どもたちが茅葺きに接し、理解し、さまざまな知恵の仕組みを学ぶことができるための講座を公開する。同時に高校生や大学生、一般、子どもたちの親などがサポートする視点で参加してもらい、茅文化に対する認識の共有を広げる。
■融資を受けようと思った動機および資金の使い道は?
事業の推進がすみやかにできるように、資金工面等での負荷を減少させる。
■ピースバンクいしかわに期待すること、メッセージをどうぞ!
手軽で安心な仕組みとしてヘルプしていただけることがありがたいです。
■その他ご意見
今は置き忘れられた感じの茅葺き民家ですが、私たちにとっては、縄文期から住まいと暮らしの建物として、さまざまな知恵がそこで育まれてきました。
私たちの活動は、茅葺きの技術や暮らしのスタイルを注意深く観察することにはじまり、何よりも人に優しいモノ・コトから、環境や共生のことを考えたいと思います。
茅葺き民家は、それを分かりやすく見えやすく伝えてくれます。
市民・学生などと共に、茅に触れ、建物に手を添え、確かな思いを次代に繋ぎます。