あかりプロジェクト

1.融資先概要

■融資実行日:2011年7月

 

■氏名または団体名・法人名:あかりプロジェクト

 

■事業開始年月日: 2008年7月1日

 

■事業実施メンバー数:15人

 

■融資金額
1,000,000円/ 返済期間6ヶ月 完済!

 

■事業内容
iphoneアプリの制作及びリリース

 

■貴方もしくは貴団体の理念や目的を教えてください。
あかりプロジェクトは摂食障害からの回復に必要なサポートを当事者の視点から考え実現すること、および摂食障害の背景に潜む社会問題の解決を図ることを目的に会を立ち上げました。本人が持つ回復力を信じて寄り添う支援者(リカバリーフレンド)を育成し、10年後には47都道府県にリカバリーフレンドと当事者が支えあうコミュニティを実現します。そのほか、スリムという美の基準やコミュニケーション能力の過大視といった既存の価値観に捉われず、それぞれが持って生まれた魅力を尊重し合えるような社会を実現するための様々な活動を行っていきます。

 

■貴方もしくは貴団体の主な事業とこれまでの成果を教えてください。
(1)回復に役立ちそうな情報を集めたウェブサイト未来蝶.netの運営
1,500ユーザー/月 15,000PV/月(11年3月現在)
(2)安全にそのままの気持ちを吐き出すためのウェブコミュニティ、未来蝶マイページの運営
年間利用者30名(10年度)
(3) 回復への模索に寄り添う友人のような存在、リカバリーフレンドの育成
リカバリーフレンド養成プログラム:金沢で4回の開催 リカバリーフレンド 8名 (10年度)
(4)あかりトークやグループワークなどリカバリーフレンドによる各地区での自助的活動の展開
あかりトーク:金沢では月2回の開催、大阪では月1回の開催 参加者総数60名 (10年度)
グループワーク:金沢で4回開催 参加者総数42名 (10年度)
(5)「自己肯定感」の大切さを広くお伝えする啓発活動としてのiphoneアプリの制作・販売
11年3月に第1弾『まいっか100smile』リリース

 

■代表者について、「私はどんな人?」を経歴やエピソードなどを自由に表現してください。
中学2年生の頃から食べることが止まらなくなり、それ以来30歳目前まで摂食障害を抱えながら生き地獄のような日々を過ごしました。苦しみの最中に見つけたくても見つけられなかったサポートを実際に実現したいと考え、3年前にあかりプロジェクトの計画を立てて今に至ります。
人からよく「おっとりしている」「やわらかい雰囲気」などと言っていただけるのですが、実は頭の中は本当に忙しく、とてもじゃないけれどおっとりしているとは自分では感じられません。しゃべり方がゆっくりなのは、頭の中にいろんなことがあり過ぎるために、それを言葉にするまでに時間がかかるからではないかと自分で分析しています。
身体で「感じる」ことで初めて頭が回り始める性分で、その感じがないままに物事を進めるのがとても苦手なので、「とにかく、やってみんと分からんもんね!やってみよう!」が口癖です。そんな私にあきれながらも一緒に居続けてくださる仲間たちや、「頭」の部分でも「心」の部分でも力を出し合える仲間たち、支援者の皆様に感謝感謝の毎日です。

 

2.融資を受けて実施する事業について

■事業の動機と目的

Q.経緯や動機
A.私たちは摂食障害から回復していく過程で「そのまんまの自分をまずは丸ごと認めてあげる」ことにこそ、病から解放され楽になる鍵があると気付きました。「私、こんなところもあるけど、それも愛嬌!ま、いっか。」そんな気付きが心を楽にして、生きる力をもう一度湧きあがらせてくれたのでした。一方、サポート活動を続けていく中で、今苦しんでいる方のサポートのみならず、社会全体の『自己肯定感の低さ』に対して声を挙げてみたい!と感じるようになりました。今の世の中に、『ささやかな自己肯定感』をもっと広めたい…。そのために私たちにできることは何だろうか…。
そこで浮上したのが「iPhoneアプリを作ってみよう!」という案でした。ご存知のように、iPhone利用者は急増していますし、iPhoneアプリはクローズドなメディアで、一回ダウンロードすれば、いつでもどこでも好きな時に利用できます。摂食障害などの病気になるほどではないけれど、「なんか、満足できない…」「なんか、つらい…」という生きづらさを少し感じている。そんな人たちにこのiPhoneアプリを利用してもらうことで、少しでも気持ちが軽くなったり、「みんな、わりと同じことで悩んでるのかもな。ま、いっか」と思ってもらえたら…。ひいてはそれが摂食障害が増加する社会風潮が変わることにつながったり、摂食障害の入り口におられる方々の重症化予防にもつながったなら…そんな願いを込めて、私たちはiPhoneアプリの制作に取り組んでいます。
また、もう一つの目的としてあかりプロジェクトが持続可能な活動になるための収益事業の確立ということがあります。私たちのサポートの対象となる方々は経済的にも苦しい状況におられる方が多く、サポート事業でプロジェクト全体の運営費をまかなっていくことは難しいものがあります。そこで、摂食障害の周辺におられる方々や一般の方々からの収益を図るためにiphoneアプリ事業を立ち上げています。

 

Q.どんな社会を目指していますか?
A.どの地域に住んでいても摂食障害へのサポートの選択肢が少なくとも1つはある社会。また、摂食障害がこれ以上増加しないような社会。すなわち、一人ひとりが「このまんまでOK」「ま、いっか」と自己肯定感を持ち、自分も他人も尊重しあえるような社会。

 

■事業の内容

Q.誰に対して・どんな価値(モノ・サービス等)を・どのように提供しますか?
A.
1. 広く一般の方々に対して
115円でつらい気持ちがちょっとだけ軽くなる!100人の笑顔と一言がつまったiphoneアプリ『まいっか100smile』を以下の3つのテーマで制作し販売します。
(1)容姿・体型に関するまいっか
(2)逆境・境遇に関するまいっか
(3)大切な人に言ってあげたいまいっか
※『まいっか100smile』とは、「これをみると、なんだか悩んでいたことが軽くなる!」をコンセプトに100人の「ま、いっか」を、顔写真とひとことメッセージつきで公開するアルバム形式のアプリケーションです。

2. 摂食障害の子どもを持つご家族や摂食障害に取り組む援助職の方々に対して
摂食障害当事者の言葉になりにくい気持ちを周辺援助者にお伝えしたり、摂食障害のご本人に「わかってくれる人たちがいる」という安心感をお渡ししたり、本人と親御さん、本人と援助職の心の通った会話の糸口を提供するという目的でiphoneアプリ『摂食障害あいうえお辞典』(仮題)を制作し販売します。
<コンテンツ案> 
「あ」~「ん」で始まる本人の言葉や行動の奥にあるものを事例を通して伝える 
ex. 「あ」あんたらのせいや! 
a子さんの場合:私はこの言葉をある時期に何度も親に向かってぶつけていました。その頃わたしは… 
b子さんの場合:私はこの言葉を、絶対に言ってはいけない言葉だと感じ、どんなに言いたくなっても爆発しそうでも、いつも言わないように我慢していました。けれど心の中では親に向かってこの言葉で悪態をついていることが多かったです。過食嘔吐の度に…

 

■今回の申請事業が営利事業、または個人の消費に関わるものの場合は、貴方(または貴団体)の理念を、どのように組織化・コミュニティ化し、広く社会に波及効果を生んでいくご計画かを、教えてください。

1.まいっかシリーズ
アプリによって「そのまんまでOK」のメッセージを世に伝えるのみならず、最終的には画像公募型の方法を確立し参加型アプリとして多くの方にご参加いただくことでメッセージを発信し続けたい

2.辞典アプリ
援助職やご家族といった周辺の方々に摂食障害本人の声を届けることで、摂食障害本人の周辺により多くの味方を生み出したい。反響によってはスマートフォンアプリのみならず小冊子などの紙媒体での発信やシリーズ化も考えていきたい。

3.上記1と2の販売収益によりあかりプロジェクトの管理費や人件費をまかなえるようになることで、石川県で模索している支援モデルをより加速的に全国に広めていきたい

 

■「強み」について
Q.貴方もしくは貴団体の持つ「強み」を教えてください。
A.摂食障害の全国組織のセルフヘルプグループは日本にもいくつか存在します。それらの団体は摂食障害を抱える仲間が組織的な利害関係に巻き込まれることなく安全に問題に取り組むことができるように、例えばある団体の例ではどのような関連施設や外部の事業にもその活動を支持したり、資金を提供したり、 団体の名前を貸したりしないことや、寄付を受けないこと、匿名性などを理念に挙げて活動をなさっています。そのことにより、安全なセルフヘルプグループが全国に存在していることはとても意義深いことだと感じますし、私たちの行なっているセルフヘルプグループもこれらの団体がこれまでに築き上げてくださったお知恵を土台にして運営をさせていただいています。一方で、それらの情報はその安全性の確保のために注意深く管理されており、本当に必要な方々に情報を広く伝えることはできていないのが現状ではないかと感じます。また、その地域でセルフヘルプグループを開催するという枠組みが変化することなく、活動内容の多様化という意味での発展性は望めない体制だと感じます。
私たちあかりプロジェクトは、これらの安全性について注意を払いながらも、よりオープンな情報公開を行っています。また摂食障害の周辺におられる援助職や親御さん、そのほかNPO団体と連携を行うことで加速的により深みのあるサポート体制を形作っていけると考えており、様々なお立場の方々とつながり連携しながら活動を行っています。そのようなオープンな環境の下、常に必要とされているニーズを追求し変化を恐れないという意識を持ちながら、リカバリーフレンドという支援者の枠組みを模索しその体制を全国に広めていきます。以上のように、オープンであること、変化を恐れずに模索を続けていく姿勢が既存の団体との違いであり強みであると考えています。

 

■「弱み」について
Q.貴方もしくは貴団体の組織の「現状抱えている課題、今後の課題」を教えてください。
A.組織に関して最も重要な要素である「ヒト」と「カネ」の部分がまだまだ整っていないことがやはり大きな課題です。
「ヒト」:活動を始めて3年弱、やっと運営メンバーと専門的視点からのコーディネーター、プレーヤーであるリカバリーフレンドという役割による切り分けの形が見えてきました。ですが、マンパワーが絶対的に不足しており、運営メンバーはそれぞれ仕事を持つ3名が時間を捻出しながら何とか作業をしている状況です。また、摂食障害の経験者からなるリカバリーフレンドも、そういった経験を持つ方々と効率的につながる方法が見えておらず、年に数名増えるという状況で加速的に支援者が増えているとはとても言えない状況です。今後、苦しみの最中にあかりPJとつながってくださった方がリカバリーフレンドとなっていくような循環が出来上がってくることや、よりオープンな活動の中で様々な方と繋がって皆様からお力添えをいただける体制を作っていくことを願っています。
「カネ」:サポート事業から管理費を捻出することは難しく、別の収益事業を確立しなければ安定的持続的な活動にはなっていきにくいという課題を抱えています。

 

■融資を受けようと思った動機および資金の使い道は?
i-phoneアプリの事業は内閣府の社会的企業創業支援ファンドという助成を受けての事業ですが、支援金が下りるまでのやりくりにとても苦労しています。また何よりも、バンクさんやバンクさんにつながる皆様にお力添えをいただくことで制作の段階からより効果的なプロモーションが行うことができたり、助成期間が終わった後の事業のあり方にも光が見えるのではないかと感じました。バンクさんにつながる様々な分野の方々につながることができたり、ご意見やお知恵やお力添えを賜ることを期待して申請をさせていただきました。

 

■ピースバンクいしかわに期待すること、メッセージをどうぞ!

以前から、「見えるつながり」という趣旨に賛同するのはもちろんのこと、メンバーの皆様や融資先の皆様お一人お一人の魅力にまぶしさを感じながらバンクさんの活動を見させていただいていました。この度は融資申請という形でもっと深くバンクさんと関わらせていただくことがとても嬉しいです。皆様の多様なご経験からのお知恵やお力添えを賜ることで、また一歩、あかりプロジェクトも進むことができるのではないかと期待しています。これからがとても楽しみでワクワクしています。どうぞよろしくお願い申し上げます。